スペイン語の直接目的格人称代名詞「me, te, lo/la, nos, os, los/las」の役割と使い方を正しく覚えましょう。目的格人称代名詞には、直接目的格人称代名詞と間接目的格人称代名詞がありますが、ここでは直接目的格人称代名詞について解説します。
目次
スペイン語の直接目的格人称代名詞「me, te, lo/la, nos, os, los/las」とは?
直接目的格人称代名詞は、スペイン語で “Pronombres de objeto directo” といい、「直接目的語の人称代名詞」のことを指します。基本的に動詞の前について、動詞(動作)が向かう直接的な対象を示します。
人称代名詞 | 直接目的語 | 直接目的格人称代名詞 |
Yo(私) | 私を | me |
Tú(君) | 君を | te |
Él(彼) Ella(彼女) Usted(貴方) 物(それ) |
彼を 彼女を 貴方を それを |
lo la lo / la lo / la |
Nosotros/as(私たち) | 私たちを | nos |
Vosotros/as(君たち) | 君たちを | os |
Ellos(彼たち) Ellas(彼女たち) Ustedes(貴方たち) 物(それら) |
彼たちを 彼女たちを 貴方たちを それらを |
los las los / las los / las |
中性(事柄を示す) | ~のこと | lo |
スペイン語の直接目的格人称代名詞「me, te, lo/la, nos, os, los/las」の役割
直接目的格人称代名詞の役割を正しく知るためには、まずは直接目的語とは何か、そして人称代名詞とは何かを分けて理解する必要があります。
スペイン語の「直接目的語」
スペイン語の直接目的語とは日本語にあたる「~を」を示す目的語です。文における「何を」や「誰を」を表します。
例えば、「私は母に手紙を書いた」という文では「何を」を示す「手紙を」の部分が直接目的語にあたります。スペイン語表記では「Escribí una carta a mi madre」となり、「una carta」が直接目的語(Objeto directo)となります。
また、「私たちはファビオとマリアを待っていた」という文では、「誰を」を示す「ファビオとマリア」の部分が直接目的語となります。スペイン語表記では、「Nosotros esperábamos a Fabio y María」で「FabioとMaría」が直接目的語(Objeto directo)となります。
例:
・Traje los libros(本を持ってきた)
・Compre un coche(車を買った)
・Busco un amigo(友達を探している)
・Necesito un asistente(アシスタントを必要としている)
スペイン語の「人称代名詞」
スペイン語の人称代名詞とは、会話の中で指定された人や物事を指す代名詞です。言い換えれば、「人や物事の名前の代わりをする名詞」です。主語人称代名詞では、「私・君・貴方・彼・彼女・私たち・君たち・貴方たち・彼たち・彼女たち」がそれにあたります。
例えば、「José es mexicano(ホセはメキシコ人だ)」という文では、人物の「José」は、会話の中で「Él(彼)」と言い換えることができます。これが、人称代名詞です。
主語人称代名詞は、大きく分けると「話し手」「聞き手」「それ以外」に分類され、「一人称・二人称・三人称」と表されます。その中で数(単数・複数)と性(男性・女性)が分けられます。
・一人称
単数(私):話し手(Yo)
複数(私たち):話し手を含む複数人(Nosotros/as)
・二人称
単数(君):聞き手(Tú)
単数(貴方):聞き手(Usted)
複数(君たち):複数人の聞き手(Vosotros/as)
複数(貴方たち):複数人の聞き手(Ustedes)
・三人称
単数(彼/彼女):話し手・聞き手以外の1人(Él/Ella)
複数(彼たち/彼女たち):話し手・聞き手以外の複数人(Ellos/Ellas)
例:
・Yo soy estudiante(私は学生だ)
・Tú eres amable(君は親切だ)
・Él tiene 20 años(彼は20歳だ)
・Ellos viven en Tokio(彼たちは東京に住んでいる)
≪合わせて読む↑≫
スペイン語の「直接目的格人称代名詞」の例文
直接目的格人称代名詞とは、直接目的語を人称代名詞に置き変えることです。つまり、文の中で「何を」や「誰を」を示す直接目的語を「それを」や「私を・君を・彼を…」などの人称代名詞に置き換えます。
例えば、「私は手紙を書いた」という文の後に、「いつそれを書いた?」という文が続く場合には、直接目的語の「手紙を」が直接目的格人称代名詞「それに」に置き変わります。
スペイン語表記では、「Escribí una carta」の「Una carta」が続く文の「¿Cuándo la escribiste?」の「la」に置き換わっています。
また、「私たちはファビオとマリアを待っていた」という文の後に、「どのぐらい彼たちを待っていたの?」という文が続く場合には、直接目的語の「ファビオとマリアを」が直接目的格人称代名詞「彼たちを」に置き換わります。
スペイン語表記では、「Nosotros esperábamos a Fabio y Anabel」の「Fabio y María」が続く文の「¿Cuánto tiempo los esperaban?」の「los」に置き換わっています。
直接目的格人称代名詞 | 例文 |
me(私を) | Daniel me buscaba en el parque. (ダニエルは公園で私を探していた) |
te(君を) | ¿Dónde estabas? No te vi en la reunión. (どこにいたの?会議で君を見なかったけど) |
lo(彼を) | ¿Conoces a Marcelo? —No, no lo conozco. (マルセロを知ってる?いいえ、彼を知らないよ) |
la(彼女を) | ¿Amas a dana? —Sí, la amo. (ダナを愛してる?うん、彼女を愛してるよ) |
lo / la(貴方を) | mucho gusto en conocerlo. (貴方を知ることができて光栄です) |
lo / la(それを) | ¿Leiste el artículo de hoy? —Sí, lo lei. (今日の記事読んだ?うん、それを読んだよ) |
nos(私たちを) | ¿En qué fueron al rio? —El tio nos llevo en su coche. (どうやって川に行ったの?叔父が車で私たちを連れて行ってくれた) |
os(君たちを) | La próxima vez os invitamos. (次は君たちを招待するよ) |
los(彼たちを) | Habia niños perdidos. Pero un policia los encontró. (迷子の子どもたちがいたが、警察官が彼らを発見した) |
las(彼女たちを) | ¿Vinieron Maria y Carla? ―No, las esperé pero no vinieron. (マリアとカルラは来た?いいえ、彼女たちを待ったけど来なかったよ) |
los / las(貴方たちを) | Es un placer de verlos. (貴方たちを拝見できて喜ばしいです) |
los / las(それらを) | ¿Dónde compraste estos zapatos? ―Los compré en el centro. (どこでこれらの靴を買ったの?中心街でそれらを買ったよ) |
lo(~のことを) | ¿Sabes si Ana aprobó el examen? ―No lo se. (アナが試験に受かったか知ってる。そのことを知らないよ) |
スペイン語の直接目的格人称代名詞「me, te, lo/la, nos, os, los/las」の使い方の規則
直接目的格人称代名詞の使い方には一定の規則があります。修飾する動詞の種類によって直接目的格人称代名詞を置く場所が変わります。
基本的には動詞の前に「直接目的格人称代名詞」を置く
直接目的格人称代名詞のほとんどは、動詞の前に置きます。
例:
・Yo te espero(君を待つよ)
・¿La viste?(彼女を見た?)
・Los compro(それらを買うよ)
否定文は「no+直接目的格人称代名詞+動詞」の順で置く
否定文の場合も動詞の前に直接目的格人称代名詞を置くが、否定を示す「No」はその前に置きます。
例:
・No te encontré(君を見つけられなかったよ)
・No lo necesito(それを必要としない)
・No las conozco(彼女たちを知らない)
動詞の不定詞は「直接目的格人称代名詞」を直後に連結させて置く
動詞の不定詞の場合は、動詞の語尾と直接目的格人称代名詞をつなげて置きます。不定詞とは動詞の原形で、「hablar, comer, vivir」など「-ar, -er, -ir」で終わる、活用する前の動詞の形です。
例:
・Me alegro de conocerte(君を知れて嬉しいよ)
・No tengo dinero para comprarlo(それを買うお金がない)
・Vine para ayudarlos(彼たちを助けるために来たよ)
助動詞がある場合は「直接目的格人称代名詞」を助動詞の前にも、動詞の後にも置くことができる
「poder, tener que, ir a, querer, deber, intentar, …」などの助動詞がある場合、直接目的格人称代名詞は助動詞の前、もしくは続く動詞の後に置くことができます。
例:
・Te voy a esperar/ Voy a esperarte(君を待つよ)
・Lo tengo que devolver / Tengo que devolverlo(それを返さなければいけない)
・Nos quieren conocer / Quieren conocernos(私たちを知りたいみたい)
動詞の現在分詞は「直接目的格人称代名詞」を前にも後にも置くことができる
動詞の現在分詞の場合は、現在分詞の前にも後にも直接目的格人称代名詞を置くことができます。動詞の現在分詞とは「hablando, comiendo, viviendo」など、語尾を「ando, iendo」に変えて、進行形(~している)や副詞的な用法(~しながら)などの表現にする活用形です。
例:
・Te estuve esperando / Estuve esperandote (君を待っていた)
・¿Lo estas viendo? /¿Estas viendolo?(それを見ている?)
・Los estamos apoyando / Estamos apoyandolos(私たちは彼らを応援している)
動詞の肯定命令形は「直接目的格人称代名詞」を直後に連結させて置く
動詞の肯定命令形の場合は、直後に直接目的格人称代名詞を置きます。
例:
・¡Apágalo!(それを消して!)
・¡Ayúdanos!(私たちを助けて!)
・¡Invítalos!(彼らを招待して!)
まとめ
スペイン語の直接目的格人称代名詞についてまとめました。「直接目的格人称代名詞」と聞くと長くて難しそうに思えますが、「動詞につく人や物の代名詞」と覚えておけば問題ありません。しかし、「間接目的格人称代名詞」もあるので、それぞれの違いがわかりにくくなる可能性があるので、両方を1セットで覚える必要があります。