スペイン語の「中性定冠詞」とは?使い方や例文を紹介!

スペイン語の中性定冠詞「lo」の使い方を例文とともに解説します。日本語にも英語にもない文法なので、正しく活用できるようにしっかりと覚えておきましょう。

スペイン語の冠詞とは

まず、冠詞とはどういうものでしょうか。冠詞は、スペイン語で “El artículo” といい、品詞の1つです。名詞に結びついて、数・性・格などを示します。

スペイン語の冠詞は、「定冠詞」と「不定冠詞」「無冠詞」に分けられます。

  • 定冠詞(el, la, los, las)=名詞が特定できるもの
  • 不定冠詞(un, una, unos, unas)=名詞が特定できないもの
  • 無冠詞=冠詞がつかない名詞

その中で、「定冠詞」には「中性定冠詞」という冠詞が含まれます。

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スペイン語の「中性定冠詞」

スペイン語で中性定冠詞は、”El artículo neutro”といい、「lo」が使われます。通常では、冠詞は名詞につきますが、中性定冠詞「lo」は、形容詞や副詞、過去分詞などの前に置かれて名詞以外の語句を名詞化します。

中性定冠詞「lo」は不変化なので「男性形 / 女性形」や「単数形 / 複数形」は存在しません。

例えば、「Lo importante es participar(重要なことは、参加することだ)」という文では、「importante(重要な)」は形容詞であり、中性定冠詞「lo」を前におくことで「Lo importante(重要なこと)」という名詞に変わります。

このように、名詞でないものを名詞にする役割を果たしているのが中性定冠詞「lo」です。

スペイン語の「中性定冠詞」の使い方と例文

中性定冠詞は定冠詞の一種ですが、使い方は全く違います。定冠詞は、名詞について数・性などを示すのに対して、中性定冠詞は、名詞以外の一定の品詞の前に、「lo」を置いて、名詞として使います。基本的には次のような使い方をします。

lo+形容詞で「~なもの」「~なこと」と意味する

中性定冠詞「lo」を形容詞の前に置いて、形容詞(物事の性質や状態をあらわすもの)を、名詞(物事の名称をあらわすもの)に変えます。

例:
・Haré todo lo posible para solucionar el problema.(問題を解決するために可能なことは全てする)
・¿Qué es lo necesario para vivir?(生きるために必要なものはなんですか?)
Lo más importante es siempre creer en uno mismo.(最も重要なことはいつでも自分を信じることだ)
Lo bueno del deporte es que te hace crecer como persona.(スポーツの良いところは人として成長させてくれることだ)

lo+過去分詞で「~したこと」「~されたこと」と意味する

中性定冠詞「lo」を過去分詞の前に置いて、動詞を名詞化します。過去分詞とは、動詞の変化形で、受け身の意味になります。過去の行為による結果の状態を示します。

例:
・Corrijo lo dicho.(言ったことを訂正する)
・Eso no justifica lo hecho.(それはやったことを正当化しない)
・¿Está correcto todo lo escrito aquí?(ここに書かれたことは間違いない?)
・Explícame lo ocurrido.(起きたことを説明して)

Lo+de+名詞で「~のこと」と意味する

対話者の間で、お互いが知っている話題について間接的に述べるときに使われます。

例:
・Te pido perdón lo de ayer.(昨日のことは謝る)
・Cuéntame lo de viaje.(旅のことについて話して)
・Nadie sabe lo de nosotros.(私たちのことは誰も知らない)
・No te olvides lo de mañana.(明日のこと忘れないでね)

Lo+de+動詞の不定詞で「~すること」と意味する

中性定冠詞「lo」と前置詞「de」と動詞の不定詞を組み合わせることで、「(動詞)すること」という意味になります。

例:
Lo de esperar mucho es estresante.(たくさん待つことはストレスだ)
Lo de dormir durante la clase es una perdida de tiempo.(授業中に寝ることは時間の無駄だ)
Lo de hacer ejercicios todo los dias es buena idea.(毎日運動することは良いアイデアだ)
Lo de llegar tarde siempre es una falta de respeto.(いつも遅れることは失礼なことだ)

lo+所有形容詞(後置形)で「~のもの」「~のこと」と意味する

所有形容詞とは、名詞の前や後につけて「私の~」や「君の~」など所有を示すものです。スペイン語の所有形容詞には、前置形と後置形があり、単数形と複数形、男性形と女性形に分かれます。

前置形(名詞の前に置く)
単数「mi, tu, su, nuestro/a, vuestro/a」
複数「mis, tus, sus, nuestros/as, vuestros/as」

後置形(名詞の後に置く)
単数「mío/a, tuyo/a, suyo/a
複数「míos/as, tuyos/as, suyos/as

中性定冠詞「lo」と所有形容詞の後置形を組み合わせることで、「私のもの」「君のもの」などの所有を示す名詞に変えることができます。

例:
・Te doy todo lo mío.(私のもの全てあげるよ)
・Este reloj es caro, pero lo tuyo es más caro.(この時計は高い、でも君のものはもっと高い)
・¡Déjalo tranquilo! Él hace lo suyo.(ほっといてやれ!彼は彼のことをするんだ)
・¿Te olvidaste los utensilios para escribir? Puedes usar uno de lo míos.(筆記用具忘れたの?私のものひとつ使っていいよ)

lo+queでその後にくる文を「~すること」「~したこと」と意味する

中性定冠詞「lo」と接続詞「que」を合わせて、後にくる文の部分を名詞にします。

例:
・¿ Escuchaste lo que pasó ayer en la reunión?(昨日会議で起こったこと聞いた?)
・No cumpliste lo que me prometiste.(私に約束したことを守らなかったね)
・Hicimos lo que pudimos, pero no logramos.(できることをしたけど、叶わなかった)
・Haz lo que a ti te parece correcto.(君が正しいと思ったことをすればいいよ)

まとめ

スペイン語の中性定冠詞はよく使われます。具体的にどういう使い方がされるのかわからないまま、使っている人も多いと思います。覚え方は簡単で、名詞以外に「lo」がついていたら、ほとんどが中性定冠詞です。しかし、スペイン語には代名詞の「lo」も存在するので混合しないように注意が必要です。