スペイン語の不定冠詞について解説します。定冠詞と同じく、よく使われる品詞なので規則や使い方などを覚えておきましょう。
目次
- 1 スペイン語の冠詞とは
- 2 スペイン語の「不定冠詞」
- 3 スペイン語の「不定冠詞」の規則
- 4 スペイン語の「不定冠詞」の使い方と例文
- 4.1 「ある~」「なんらかの~」「どこかの~」と特定できないものを示すときに不定冠詞になる
- 4.2 「どの~も」「~ならば」「~というものは」と種類の代表として1つのものを示すときに不定冠詞になる
- 4.3 「まさに~」「本当に~」「大変な~」「すごい~」「ひどい~」と物事を強調するときに不定冠詞になる
- 4.4 否定文で「ひとつの~もない」と強調するときに不定冠詞になる
- 4.5 固有名詞と合わせて「~のような人(もの)」と表すときに不定冠詞になる
- 4.6 「いくつかの」「数~の」と、複数名詞について少数であることを示すときに不定冠詞になる
- 4.7 数字の前に置いて「およそ」「だいたい」と概数を示すときに不定冠詞になる
- 4.8 話し手が「言及する名詞が何を指しているのか」を聞き手が特定できていないと判断したときに不定冠詞になる
- 4.9 形容詞に「不定冠詞」がつくと名詞化される
- 5 まとめ
スペイン語の冠詞とは
冠詞は、スペイン語で “El artículo” といい、品詞の1つです。名詞に結びついて、数・性・格などを示します。
スペイン語の冠詞は、「定冠詞」と「不定冠詞」「無冠詞」に分けられます。
- 定冠詞(el, la, los, las)=名詞が特定できるもの
- 不定冠詞(un, una, unos, unas)=名詞が特定できないもの
- 無冠詞=冠詞がつかない名詞
その中で、「定冠詞」には「中性定冠詞」という冠詞が含まれます。
≪合わせて読む↑≫
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スペイン語の「不定冠詞」
スペイン語で不定冠詞は、”Los artículos indefinidos”といい、”Un niño“、”Unos niños“や “Una silla“、”Unas sillas“など、「特定できない名詞」の前には「不定冠詞」がつきます。
英語の冠詞と違って、スペイン語の冠詞には「男性形 / 女性形」や「単数形 / 複数形」があり、名詞の種類によって使い分ける必要があります。
不定冠詞の使い方は、話し手や聞き手が対象となる名詞を特定できない名詞の前に、修飾する名詞の性と数に合わせてつけます。
例えば、「Un chico me ayudó(ある少年が助けてくれた)」という文では、「Un chico(ある少年)」は、聞き手が特定できない人物を指しているので、不定冠詞となります。
スペイン語の「不定冠詞」の規則
スペイン語の不定冠詞は、男性名詞では「Un(単数形)、Unos(複数形)」、女性名詞では「Una(単数形)、Unas(複数形)」となります。
例)単数形 / 複数形
・Un joven / Unos jovenes(ある若者・ある若者たち)
・Una casa / Unas casas(ある家・ある複数の家)
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強勢のある「a-」または「ha-」で始まる「女性単数名詞」の直前の不定冠詞は「un」となる
スペイン語には、「a」または「ha」など「ア」の発音で始まる女性単数名詞があります。
通常なら、女性名詞の不定冠詞は「Una」ですが、名詞の頭文字の「a」や「ha」に強勢(アクセント)がある場合、女性名詞でも男性形不定冠詞「un」を使います。
例えば「área(エリア)」は、頭文字の「a」に強勢(アクセント)がある女性名詞です。もし不定冠詞「una」を使った場合、「una área」となり、不定冠詞の「a」と名詞の頭文字の強勢「a」が被ってしまい、区別が難しくなります。そこで、「área(エリア)」は、女性名詞のままですが、男性形不定冠詞を使うことになります。
例:
・Un área(エリア)
・Un águila(鷲)
・Un ala(翼)
・Un haba(ソラマメ)
・Un haya(ブナ)
「a」や「ha」で始まる女性単数名詞でも、強勢(アクセント)が頭文字にない場合は、女性形不定冠詞「Una」が使われます。例えば、「Habitación(部屋)」という単語は、「ha」で始まる女性単数名詞ですが、強勢(アクセント)は「ción」の位置にあるので、女性形不定冠詞「Una」が使われ「Una habitación」となります。
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スペイン語の「不定冠詞」の使い方と例文
不定冠詞は、「特定できない名詞」につきますが、どのように「特定できない名詞」を区別するのでしょうか。例外は数多くありますが、基本的には次のような基準で決まります。
「ある~」「なんらかの~」「どこかの~」と特定できないものを示すときに不定冠詞になる
話し手は認識しているが、聞き手が具体的に認識していない人や物事などを指します。
例:
・Una amiga viene a la fiesta(ある友達がパーティーに来るよ)
・Seguro que hay una solución(必ずなんらかの解決策があるはず)
・Me quedaré en un hotel de Kioto(京都のどこかのホテルに泊まるよ)
「どの~も」「~ならば」「~というものは」と種類の代表として1つのものを示すときに不定冠詞になる
種類全体を表します。話し手も聞き手も、人、物事などを特定していません。
例:
・Un cuadrado tiene cuatro lados.(どの四角形も4つの辺があります)
・Un doctor debe saber el nombre de esta emfermedad.(医者ならばこの病名を知っているべきだ)
・Un atleta se cuida de uno mismo.(アスリートというものは自己管理するものだ)
「まさに~」「本当に~」「大変な~」「すごい~」「ひどい~」と物事を強調するときに不定冠詞になる
名詞を強調する場合に不定冠詞をつけます。人には使われず、物事にのみ使われます。
例:
・¡Es un lío!(まさに混乱だ)
・¡Tengo un dolor!(本当に痛い)
・¡Hace un calor!(大変な暑さだ)
・¡Tiene un talento!(すごい才能だ)
・¡Hay un olor!(ひどい匂いだ)
否定文で「ひとつの~もない」と強調するときに不定冠詞になる
否定文でひとつもないことを強調するときに使います。
例:
・No tengo un peso(1ペソもない)
・No dijo una palabra(彼はひとことも言わなかった)
・No hice una trea(宿題ひとつもしなかった)
・No encuentro un lado positivo(ひとつもポジティブ面がみつからない)
固有名詞と合わせて「~のような人(もの)」と表すときに不定冠詞になる
基本的に、固有名詞には冠詞はつきませんが、不定冠詞をつけることで「例え」の表現になります。
例:
・Es un Usain Bolt, corre muy rápido(ウサイン・ボルト選手のように速く走る)
・Es un Desierto del Sahara, no hay nada(サハラ砂漠のように何もない)
・Es un Van Gogh, pinta bien(ゴッホのように絵がうまい)
「いくつかの」「数~の」と、複数名詞について少数であることを示すときに不定冠詞になる
具体的な数字を使わず、数量的に少数であることを示す場合には不定冠詞の複数形を使います。
例:
・Escribí unas cartas.(いくつかの手紙を書いた)
・Intercambiamos unas palabras(いくつかの言葉を交わした)
・Me compré unos libros.(数冊の本を買った)
・Me quedaré unos días en Tokio.(東京に数日滞在する)
数字の前に置いて「およそ」「だいたい」と概数を示すときに不定冠詞になる
正確な数字ではなく、大まかな数字を表すときに使います。
例:
・Son unos 10 kilómetros desde aquí(ここからおよそ10キロメートルある)
・Pesa unos 50 kilogramos.(およそ50キログラムある)
・Él debe tener unos 30 años.(彼はだいたい30歳ぐらいだ)
・Cuesta unos 10,000 yenes.(だいたい1万円ぐらいかかる)
話し手が「言及する名詞が何を指しているのか」を聞き手が特定できていないと判断したときに不定冠詞になる
基本的に、不定冠詞単数形が使われます。複数形は、冠詞より不定形形容詞的な機能を持ちます。
① 可算名詞の1つを初めて話題に載せるとき
・Una chica vino a vistarme. La chica estaba nerviosa pero empezó a hablar.
(ある少年が訪ねてきた。少年は緊張していたが、話し始めた)
・Hay un árbol en el parque. Ese árbol tiene más de 100 años.
(公園にある木がある。その木は樹齢100年以上だ)
② 可算名詞の数量が1つであることを表すとき
・Hace un año que estoy en Japón.(1年前から日本にいる)
・Quiero una botella de vino.(ワイン1瓶が欲しい)
③ 不可算名詞が1単位として具体化し、可算名詞として扱われるとき
・Un café por favor(コーヒー1つお願いします)
・Me desperté por un ruido(ある騒音で目覚めた)
④ 不可算名詞に修飾語がついて、1つの様相や種類を表しているとき
・Tomé una cerveza muy fría(よく冷えたビールを飲んだ)
・Hace un calor como el infierno(地獄のような暑さだ)
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形容詞に「不定冠詞」がつくと名詞化される
形容詞に不定冠詞がつくと、その形容詞が表す人や物事の性質が、名詞化されます。
例:
・Es un infantil(彼は幼稚な人だ)
・Me llamó un desconocido(知らない人に呼ばれた)
・Una generosa me ayudó(気前の良い人が助けてくれた)
・Es una exitosa(彼女は成功者だ)
まとめ
スペイン語の不定冠詞は、定冠詞と同様によく使われる冠詞です。不定冠詞は基本的に単数形で使われ、複数形は「いくつかの」のという意味で示されることが多いです。
例えば、”Una casa”の複数形は”Casas”となり、”Unas casas”は「いくつかの家」という意味になる場合がほとんどなので、注意が必要です。