【体験談】DELE C2を受けてきました。出題内容を振り返ります!

DELE C2を実体験をもとに検証します。
2022年度7月開催のDELE C2を受けてきました。結果は「NO APTO」不合格でした。初挑戦でとても難しかったですが、反省点を踏まえて今後再挑戦したいと思います。

まず、採点結果はこうでした。

DELE C2 採点結果

「DELE C2」を受けた感想

「DELE C2」は、「DELE C1」や「DELE B2」と試験内容が異なるので、まずは試験の流れと全体像をしっかり把握しなければいけません。長時間の試験でテキストも多く、スピーキングも同日に行われるためかなり疲弊します。

「DELE C2」に関しては、スペイン語の実用性というよりは専門性が大きく、簡単に言える表現をわざと難しい表現で言ったり、複雑な議題について長文のテキスト作成やスピーチを求められたりなど、マニアックなスペイン語知識が必要だと感じました。ネイティブスピーカーでも試験に向けた勉強をしっかりしなければ合格できないレベルです。

一般的なスペイン語知識は「DELE C1」で十分です。「DELE C2」は言語学の追求という面で挑戦する価値があると思います。

今回は初挑戦ということで、もちろん合格を目指しましたが、経験を積むために挑戦した面が大きかったので試験の特徴をつかめたことはよかったと思います。得意のスピーキングで合格点を満たせなかったのは残念ですが、次回はしっかり準備して臨みたいと思います。

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「DELE C2」 Prueba 1(リーディング&リスニング)の出題内容と問題の特徴

「DELE C2」のリーディング・リスニングパートで実際に出題された内容と、「DELE C1」と比較した場合の試験の特徴について紹介します。

「DELE C2」のリーディング・リスニングで出題された内容

  • Tarea 1 (リーディング):「環境問題」に関するテキストの穴埋め問題
  • Tarea 2 (リーディング):「犬」に関するパラグラフの挿入問題
  • Tarea 3 (リーディング):「コウモリの生態」についてのテキストの読解
  • Tarea 4 (リスニング) :「アイデンティティ」についての講義の聴解
  • Tarea 5 (リスニング) :「さまざまなテーマ」の3つの会話の聴解
  • Tarea 6 (リスニング) :「翻訳家へのインタビュー」の聴解

「DELE C2」のリーディング問題の特徴

「Prueba1」のリーディングに関しては、「DELE C1」と比べて問題のボリュームが少ないこともあり簡単に感じますが、テキストの語彙レベルが上がるので、より高度な語彙力が必要になります。
特に「Tarea 1」の穴埋め問題は配点も高く「Prueba1」のカギとなります。ただし、今まで普通に生活してて見たこともないような難しい単語が出てくるので、消去法でいかに選択肢を限定できるかが重要になります。

「DELE C2」のリスニング問題の特徴

リスニング問題は「DELE C1」に比べて難易度が上がります。その大きな理由のひとつは、音声が問題の順番と合っていないからです。 「DELE C1」までは、音声の流れに沿って順番に問題がありましたが、「DELE C2」は問題形式上ランダムになっているので音声全体を正確に理解できていないと解答できません。
議題についてはシンプルなものが多いですが、音声を聴きながら問題文と一致させる作業が「DELE C1」よりも複雑になっています。

「DELE C2」 Prueba 2(ライティング)の出題内容と問題の特徴

「DELE C2」のライティングパートで実際に出題された内容と、「DELE C1」と比較した場合の試験の特徴について紹介します。

「DELE C2」のライティングで出題された内容

  • Tarea 1 :「ナノテクノロジーについて」の音声と資料を元に記事を作成する
  • Tarea 2 :「社会活動の募集要項」を手書きからウェブサイト用に書き直す
  • Tarea 3 :「年度別のミュージアム訪問者数」の資料を元にレポートを作成する

「DELE C2」のライティング問題の特徴

一番難易度が高いパートはライティングです。ライティングの試験時間が「DELE C1」が80分なのに対して「DELE C2」は約2倍の150分です。また、指定の単語数に関しても「DELE C2」は約2倍の単語数を書かなければいけません。
また参考資料が多いので、すべてをまとめるテキストの構成力が必要となります。「DELE C1」では、ある程度テンプレートテキストを事前に考えておいて、与えられた資料に基づいてテキストを完成できる内容でしたが、「DELE C2」ではテンプレートテキストが使えないほど高度なテキスト作成が求められるので、試験時間内にどれだけ速く頭の中で情報をまとめて、シナリオをつくれるかがポイントとなります。

「DELE C2」 Prueba 2(スピーキング)の出題内容と問題の特徴

「DELE C2」のスピーキングパートで実際に出題された内容と、「DELE C1」と比較した場合の試験の特徴について紹介します。

「DELE C2」のスピーキングで出題された内容

  • Tarea 1 :「未来の住居について」を資料を元にスピーチする
  • Tarea 2: 「環境問題・経済問題と住居の関連性」を面接官とディスカッションする
  • Tarea 3 :「ホメオパシー」について面接官とインフォーマルな会話をする

「DELE C2」のスピーキング問題の特徴

スピーキング問題は、「DELE C1」と比べても、圧倒的に音声・資料・グラフ・データなどの情報が多すぎて、短い準備時間に正しいデータに基づいた考えを論理的にまとめるのは非常に困難です。本質的なスピーキング能力以前に、高度な情報処理能力が必要です。すべてを完璧に説明しようとせずに、要点を絞ってそこからスピーチを展開していくことがポイントです。

また、「Tarea 3」は準備時間がなく、その場でテーマを渡されて面接官と会話をしなければいけないので、最低限の一般知識も必要です。例えば、私は「ホメオパシー」というテーマが当たり、聞いたことがない言葉だったので困惑しました。冒頭、面接官に「ホメオパシー」とは何か尋ねましたが、よく理解できないまま試験が進んでしまいました。後で調べてみるとヨーロッパでは周知されている薬品による代替医療のことでした。このように、DELEはスペインの教育機関なので、日本人には馴染みのないテーマ出題される可能性があります。

「DELE C2」の対策

「DELE C2」は非常に難易度の高い試験です。スペイン語が得意だという人も、スペイン語の知識だけでは合格できないので、多かれ少なかれ試験対策は必要です。

「DELE C2」の試験内容を確認する

Instituto Cervantesのウェブサイトにも試験モデルが公開されているので、まず初めは試験内容を把握しましょう。

「DELE C2」対策の参考書

「DELE C2」は試験内容が異なるので、まずは参考書を購入して本番を想定した練習をする必要があります。edelsa社が出版している「Preparación al Diploma de Español Nivel C2」はDELEの参考書の中でも一般的なもので、6回分の模擬試験ができるので活用できると思います。中古で十分なので是非購入してください。

DELE C2 参考書

「DELE C2」は、受験料が約2万円かかりますし、そのほかにも、遠方の人は交通費や前日宿泊などの費用も掛かります。「ダメ元」で何度も受けられる試験ではないので、しっかりと準備をしてから自信を持って臨むとよいでしょう。

「DELE C2」対策で勉強しておきたいこと

  • リーディングは、「DELE C1」と同じ形式の課題が出題されるので見慣れている安心感があります。「DELE C1」でリーディングパートをハイスコアで合格している人は、特に対策をしなくてもいいと思います。
    しかし、語彙の難易度が上がるのでスペイン語の専門書などを読み、難しい言葉を見つけて意味を調べながら語彙力を上げることが必要です。
  • リスニングは、「DELE C1」と異なる形式の課題(tarea 4, tarea 5)が出題されているので練習が必要です。参考書やInstituto Cervantesが公開している試験問題で必ず模擬をしましょう。
    また、リスニングは音声を聴きながら問題を読む動作に慣れることが一番大切なので、勉強の「ネタ」が尽きてしまったとしても同じ問題を繰り返し解くことで必ずリスニングスキルは上がります。
  • ライティングも、「DELE C1」と異なる形式の課題(tarea 2)が出題されるので、試験に臨む前に必ず問題形式を確認しておきましょう。問題の趣旨を理解しないまま試験に臨んでしまうと大きな時間ロスになってしまいます。ちなみに「tarea 2」はテキストの訂正・書き換えですが、巧妙な問題なので練習の積み重ねが必要だと思います。
    「DELE C2」のライティングの最大の特徴はテキストのボリュームです。ですから、清書する前の書くことを下書き用紙に整理してまとめる作業がテキスト作成で最も重要になります。資料の内容を下書き用紙にキレイに素早くまとめる練習を繰り返し行うことでライティングのスピードアップや文章の構成力が身に付きます。
  • スピーキングは、独学では一番勉強しづらいパートだと思います。自己採点ができないこと、面接官とのやりとりの練習ができないこと、リアリティのある模擬ができないことが主な原因でしょう。
    それでも「DELE C2」のスピーキングでは、ライティング同様膨大な情報を簡潔にまとめる作業が重要になるので、ただ単に上手に話すことだけにスポットを当てるのではなく、与えられた情報を元にいかにスピーチしやすい下書きを作るかを考えて準備することが必要です。例えば、テレビで流れるニュースや特集などを簡潔にまとめて第三者に伝える練習をするとよいでしょう。

まとめ

「DELE C2」を受けた感想をまとめました。私は東京会場で試験を受けましたが、受験者数は10名程度でした。それほど難易度の高い試験ですが、合格している人は必ずいるのであきらめないで挑戦することが大切だと感じました。

試験はあくまで出題者の定義によって一定の基準で個人の語学力のレベル分けをしているだけなので本質的な語学力ではないと思っています。試験の相性もありますし、与えられるテーマによって得意、不得意があるので当然得点も変わります。しかし、結局は地道にコツコツ勉強をしている人が強いです。自分が頑張って勉強した結果が形として現れることは素晴らしいことなので、ぜひ挑戦してみてください。