DELE B2とDELE C1の違いをインスティトゥト・セルバンテスの試験ガイドを元に比較します。レベル、採点方法、課題数、語彙数、テキストの種類を比較して、DELE B2とDELE C1の間にどれぐらいの差があるのかを検証します。
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目次
DELE B2とDELE C1のレベルの違い
B2
実務対応が可能な準上級者複雑な内容や抽象的なテーマ、スペイン語の多様性を認識し、既知の専門的内容を理解することができる。流暢かつ自然で、聞き手に困難を与えない会話能力を持ち、明瞭かつ詳細な文章を作成し、推論的分析、ディベートなどができるレベル。
インスティトゥト・セルバンテス東京
C1
言語能力が優れている上級者ある程度の幅広い分野の文章や会話を展開する中で言外の意味や、相手の態度、意図までを読み取りながら自在に言語を操り、流暢且つ臨機応変に無理なく自分の考えを表現し、社会的分野、ビジネス分野、学術的分野などいかなる分野であっても常に状況と文脈に対応した表現を使用できる。また、複雑な文章を作成したり、テキストを利用して考えをまとめ、柔軟且つ効率的に言語を運用することができるレベル。
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B2は一般的なスペイン語ができればいいですが、C1は、より専門的でフォーマルなスペイン語が使えなくてはなりません。
C1では状況に合わせて適切な表現を使うことが求められます。
B2は、現地での日常生活やアルバイトなどで不自由のない程度、C1は現地で仕事をする上で不自由のない程度といえます。
これは、MCER (Marco Común Europeo De Referencia Para Las Lenguas) というヨーロッパで作られた言語の習得状況を評価するために考案された評価基準から解釈されているものです。日本ではB2は中上級、C1は上級に当たります。
DELE B2とDELE C1の採点方法の違い
B2とC1の採点方法は変わりません。問題数が異なるので、計算の仕方は多少異なりますが、基準となる数字は全て同じです。各科目（リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング）で60％以上の正解率が必要で、4科目を2グループに分けて採点します。
DELE B2とDELE C1の獲得スコアの計算方法
各科目の正解率を25点満点に換算しています。
B2の計算方法
リーディング
（正解数ｘ25）÷ 36
リスニング
（正解数ｘ25）÷30
ライティング
（0～3の評価点ｘ25）÷3
スピーキング
（0～3の評価点ｘ25）÷3
C1の計算方法
リーディング
（正解数ｘ25）÷ 40
リスニング
（正解数ｘ25）÷30
ライティング
（0～3の評価点ｘ25）÷3
スピーキング
（0～3の評価点ｘ25）÷3
①科目：４科目から２グループに分けて評価します。
②各科目最高得点：各科目の最高得点は２５点です。
③各グループ合計最高得点：各グループ合計の最高得点は５０点です。
④合格点：各グループの合計得点が３０点以上で合格です。
＊各グループで６０％以上取れれば合格できます。
DELE B2とDELE C1の試験時間と問題数の違い
B2
リーディング
70分・36問
リスニング
40分・30問
ライティング
80分・2問
スピーキング
20分・3問（準備20分）
合計時間
3時間30分
合計問題数
71問
C1
リーディング
90分・40問
リスニング
50分・30問
ライティング
80分・2問
スピーキング
20分・3問（準備20分）
合計時間
4時間
合計問題数
75問
リーディングは、C1のほうが２０分長くなっています。問題数は４問しか変わらないですが、テキストのボリューム、難易度は大きく違います。
リスニングは、問題数は同じですが、C１のほうが１０分長くなっています。C1では、１問を聞き取るのにより多くの音声を聴解しなければいけません。
ライティングは、時間も問題数も同じですが、C1ではTAREA1で音声の聞き取りがあります。
スピーキングは、B2もC1も準備時間が２０分、試験時間は合計２０分程度ですが、各課題の時間配分が少々異なります。
DELE B2とDELE C1の課題数の違い
DELE B2とDELE C1「リーディング」の課題数
B2
Tarea 1（ 6問）
Tarea 2（ 10問）
Tarea 3（ 6問）
Tarea 4（ 14問）
C1
Tarea 1（ 6問）
Tarea 2（ 6問）
Tarea 3（ 6問）
Tarea 4（ 8問）
Tarea 5（ 14問）
B2のリーディングパートの課題数は４つ、C1の課題数は５つです。C1はリーディングを重要視しているので、B2と比べて難易度が非常に高くなっています。
DELE B2とDELE C1「リスニング」の課題数
B2
Tarea 1（ 6問）
Tarea 2（ 6問）
Tarea 3（ 6問）
Tarea 4（ 6問）
Tarea 5（ 6問）
C1
Tarea 1（ 6問）
Tarea 2（ 8問）
Tarea 3（ 6問）
Tarea 4（ 10問）
B2のリスニングパートの課題数は５つ、C1の課題数は４つです。問題数は変わらないので、C1では各課題の音声がB2よりも長いことがわかります。
DELE B2とDELE C1「ライティング」の課題数
B2
Tarea 1（150～180単語）
Tarea 2（150～180単語）
C1
Tarea 1（220～250単語）
Tarea 2（180～220単語）
B2のライティングパート、C1のライティングパートともに課題数は２つです。単語数は受験者が書く分の単語数を表しています。注意しなければいけないのは、単語数を表しているので冠詞は単語に含まれないということです。C1ではよりフォーマルなテキスト作成を求められるので難易度が上がります。
DELE B2とDELE C1「スピーキング」の課題数
B2
Tarea 1（6～7分）
Tarea 2（5～6分）
Tarea 3（3～4分）
C1
Tarea 1（3～5分）
Tarea 2（4～6分）
Tarea 3（4～6分）
B2のスピーキングパート、C1のスピーキングパートともに課題数は３つです。難易度が一番変わらないのが、スピーキングパートかもしれません。しかし、採点の基準は当然レベルが上がるほど厳しくなるので、C1ではより高度なスピーキングスキルが必要です。
DELE B2とDELE C1の語彙数の違い
B2
リーディング
1750～1950 単語
リスニング
1590～1980 単語
ライティング
400～500 単語
スピーキング
—
C1
リーディング
2725～3375 単語
リスニング
2700～3300 単語
ライティング
記載なし
スピーキング
800 単語
リーディングは、C1はB2の約１.５倍の語彙数があります。B2の各課題の平均が３５３単語で、C1の各課題の平均が５４０単語なので試験のボリュームが大きく異なります。
リスニングでも、C1ではB2の約１.５倍の語彙数があります。課題数はB2の方が多いので、C1は１問ごとの音声がより長いということになります。
ライティングは、参考テキストの単語数を示しています。記載はありませんが、C1の参考テキストの単語数はB2とほぼ相違ないです。
スピーキングは、C1ではTAREA1で約８００単語のテキストを要約するので、語彙数が多くなっています。
DELE B2とDELE C1のテキストの種類の違い
DELE B2とDELE C1「リーディング」のテキストの種類
B2
Tarea 1
公的、または専門的な分野の複合的なテキスト。
Tarea 2
私的、または公的な分野の、同一のテーマに対する異なる視点、コメント、意見、逸話など。
Tarea 3
公的、教育的、または専門的な分野の記事、ニュース、ディレクターへの手紙、旅行ガイドなど。
Tarea 4
公的、教育的、または専門的な分野の文学的、歴史的なテキスト、伝記など。
C1
Tarea 1
公的、または専門的な分野の、説明書、契約書、ビラ、条項、レポートなど。
Tarea 2
公的、教育的、または専門的な分野の、体験、計画、プロジェクトを叙述、説明するテキスト（旅行ノート、ブログ、雑誌記事、新聞、演劇、物語など）。
Tarea 3
教育的、または専門的な分野の、アカデミック作品（エッセイ、モノグラフ）、記事、新聞レポート、専門雑誌などの長尺テキスト。
Tarea 4
教育的な分野の、短評、または報告書、論文、研究記事などの要約、文献目録などの詳細を説明、叙述した短尺テキスト。
Tarea 5
教育的、または専門的な分野の、雑誌、教科書、専門誌から抜粋された複合的な長尺テキスト。
DELE B2とDELE C1「リスニング」のテキストの種類
B2
Tarea 1
私的、公的、教育的、または専門的な分野のフォーマルやインフォーマルな会話。
Tarea 2
私的、または公的な分野の２人の会話。
Tarea 3
公的、教育的、または専門的な分野のラジオやテレビのインタビュー。
Tarea 4
教育的、または専門的な分野の、短いモノローグや体験、評価、意見、アドバイスを叙述した会話など。
Tarea 5
公的、教育的、または専門的な分野のプロジェクトや体験などが叙述された会議、スピーチ、モノローグなど。
C1
Tarea 1
教育的な分野の、プロジェクトや体験を叙述またはナレーションされた会議、スピーチ、プレゼンテーション、ラジオやテレビのニュースなど。
Tarea 2
公的、または専門的な分野で、対面や電話で男女間で行われる多種多様なテーマに関するインフォーマルな会話や示談など。
Tarea 3
公的、または専門的な分野で、あらゆるテーマ（コミュニケーション、仕事、政治、社会、経済、文化など）をラジオやテレビで複数人で交わされる長尺インタビューや討論など。
Tarea 4
私的、公的、教育的、専門的な分野で、２人の間で交わされる一般的な短い会話。
DELE B2とDELE C1「ライティング」のテキストの種類
B2
Tarea 1
私的、公的、教育的、または専門的な分野の、ニュース、広告、オファー、コメント、スポーツ中継放送を元にテキストを作成。
Tarea 2
公的、教育的、または専門的な分野の、環境問題、報道、観光、経済、仕事、教育などのテーマの資料を元にテキストを作成。
＊Tarea 2は選択式。
オプション１：
グラフ、統計表のデータを元に記事を作成。
オプション２：
新聞の手短なニュース、ブログ、ソーシャルネットワーク、演劇の概要、映画、本などの資料を元に記事や短評を作成。
C1
Tarea 1
公的、教育的、または専門的な分野の、会議、討論、プレゼンテーションなどの音声からテキストを作成。
Tarea 2
公的、教育的、または専門的な分野の、新聞や雑誌の広告、説明書、記事の要約、統計グラフなど様々な情報や資料からテキストを作成。
＊Tarea 2は選択式。
オプション1：
レビュー、レポート、雑誌の記事などを作成。
オプション2：
苦情の手紙、奨学金申請書、推薦状などを作成。
DELE B2とDELE C1「スピーキング」のテキストの種類
B2
Tarea 1
公的、教育的、または専門的な分野の、困難な状況とそれに対する５～７つの問題解決のための提案が記載された資料を元にスピーチや面接官と会話をする。
Tarea 2
公的、教育的、または専門的な分野の、写真、ある状況を説明された言表、会話のヒントが記載された資料を元に短いスピーチや面接官と会話をする。
Tarea 3
公的、教育的、または専門的な分野の、文書やグラフ（アンケート結果、流行りのニュースなど）を元に面接官とインフォーマルな会話をする。
C1
Tarea 1
公的、教育的、または専門的な分野の、750～850単語程度のテキストを元にスピーチをする。
Tarea 2
Tarea 1の議題について、面接官からの様々な質問に回答する、または会話をする。
Tarea 3
公的、教育的、または専門的な分野の、写真、ポスター、広告、スローガンなどの様々なオプションから１つの答えにたどり着くために面接官と会話をする。
B2は公的、私的、学問や職業に関する記述が多く、一般的なインフォーマルなテキストであるのに比べ、C1は専門的なフォーマルなテキストです。C1では、特にライティングとスピーキングで社会問題についてテーマが多く、スペイン語の能力に加えて時事に関する知識も必要になります。
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まとめ
DELE B2とDELE C1の違いを試験ガイドをもとに紹介しました。
難易度は、確かにC1がB2に比べてはるかに高いですが、B2の能力を持っていれば、C1は試験対策さえすれば合格できる可能性はあります。
B2を取得した人は迷わずC1も挑戦してください。難易度の差はありますが、DELEはヘビーな試験な分、運もあります。自分の馴染みのあるテーマが試験で当たれば圧倒的に有利だからです。
ただ、試験内容が異なるので、過去問や教材を使って勉強をすることは必須です。
リスニングとスピーキングについては、B２もC１もほとんどレベルは変わらない印象です。B2で合格したのに、C1で急に聴き取れなくなる、話せなくなるということはないと思います。
しかし、C1のリーディングは語彙数が一気に上がるのと、テキストが専門的で複雑になるので語彙力、読解力強化が必要です。
また、ライティングについては、C1ではフォーマルなテキストの書き方など、新たな知識が求められるので事前準備が必要です。
