DELE A2とDELE B1の違いをインスティトゥト・セルバンテスの試験ガイドを元に比較します。レベル、採点方法、課題数、語彙数、テキストの種類を比較して、DELE A2とDELE B1の間にどれぐらいの差があるのかを検証します。
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目次
DELE A2とDELE B1のレベルの違い
A2
学習を継続中の初級者日常で身近な表現、自分自身や家族のこと、買い物、興味のある場所、仕事など簡単な日常的事柄や、すでに経験がある事項に関して理解をし、即座に応対をすることができる。簡単な既知の内容や習慣の会話、自身の過去の出来事や身の回りで起こったことの描写など、必要に応じて表現することができるレベル。
インスティトゥト・セルバンテス東京
B1
習得しつつある中級者日常での身近な事柄や学習・仕事に関する既知の内容を理解することができる。大抵の状況で適した応対ができ、既知のテーマや個人的に興味があること、経験、出来事、希望、願望、計画、意見など簡単に表現することができるレベル。
インスティトゥト・セルバンテス東京
A2は、簡単で日常的な範囲の情報交換に応じることができ、身の回りの事柄を簡単な言葉で説明できるレベルです。
B1は、身近な話題について要点を理解できて、短い意見や計画の理由を説明することができるレベルです。
つまり、A2は身近な事柄を理解できる程度、B1は旅行や交流の中でやりとりができる程度といえます。
これは、MCER (Marco Común Europeo De Referencia Para Las Lenguas) というヨーロッパで作られた言語の習得状況を評価するために考案された評価基準から解釈されているものです。日本ではA2は初級、B1は中級に当たります。
DELE A2とDELE B1の採点方法の違い
A2とB1の採点方法は変わりません。問題数が異なるので、計算の仕方は多少異なりますが、基準となる数字は全て同じです。各科目(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)で60%以上の正解率が必要で、4科目を2グループに分けて採点します。
A2のライティングでは、2人の採点者が5:5の割合で「言語の使い方」「課題の達成度合い」の2面から分け合って採点し、スピーキングでは採点者と面接官の2人が6:4の割合で同様に「言語の使い方」「課題の達成度合い」の2面から分け合って採点をします。
DELE A2とDELE B1の獲得スコアの計算方法
各科目の正解率を25点満点に換算しています。
A2の計算方法
リーディング
(正解数x25)÷ 25
リスニング
(正解数x25)÷25
ライティング
(0~3の評価点x25)÷3
スピーキング
(0~3の評価点x25)÷3
B1の計算方法
リーディング
(正解数x25)÷ 30
リスニング
(正解数x25)÷30
ライティング
(0~3の評価点x25)÷3
スピーキング
(0~3の評価点x25)÷3
①科目:4科目から2グループに分けて評価します。
②各科目最高得点:各科目の最高得点は25点です。
③各グループ合計最高得点:各グループ合計の最高得点は50点です。
④合格点:各グループの合計得点が30点以上で合格です。
*各グループで60%以上取れれば合格できます。
DELE A2とDELE B1の試験時間と問題数の違い
A2
リーディング
60分・25問
リスニング
40分・25問
ライティング
45分・2問
スピーキング
12分・3問(準備12分)
合計時間
2時間37分
合計問題数
55問
B1
リーディング
70分・30問
リスニング
40分・30問
ライティング
60分・2問
スピーキング
15分・4問(準備15分)
合計時間
3時間5分
合計問題数
66問
リーディングは、試験時間は10分、問題数は5問、B1のほうが多くなっています。科目のボリュームが上がります。
リスニングは、試験時間は同じですが、問題数はB1のほうが5問多くなっています。同じ試験時間内に、聴き取る量と解答する量が増えるということです。
ライティングは、問題数は同じですが、B1のほうが15分長くなっています。難易度は大きく変わります。
スピーキングは、試験時間、準備時間ともに大きな違いはないですが、B1の問題数が1問多くなっています。
DELE A2とDELE B1の課題数の違い
DELE A2とDELE B1「リーディング」の課題数
A2
Tarea 1( 5問)
Tarea 2( 8問)
Tarea 3( 6問)
Tarea 4( 6問)
B1
Tarea 1( 7問)
Tarea 2( 5問)
Tarea 3( 6問)
Tarea 4( 6問)
Tarea 5( 6問)
A2のリーディングパートの課題数は4つ、B1の課題数は5つです。A2もB1も1課題当たり約15分の時間配分の計算になります。
DELE A2とDELE B1「リスニング」の課題数
A2
Tarea 1( 6問)
Tarea 2( 6問)
Tarea 3( 6問)
Tarea 4( 7問)
B1
Tarea 1( 7問)
Tarea 2( 6問)
Tarea 3( 6問)
Tarea 4( 6問)
Tarea 5( 5問)
A2のリスニングパートの課題数は4つ、B1の課題数は5つです。試験時間は変わらないので、単純にB1の課題数が多くなっています。
DELE A2とDELE B1「ライティング」の課題数
A2
Tarea 1(60~70単語)
Tarea 2(70~80単語)
B1
Tarea 1(100~120単語)
Tarea 2(130~150単語)
A2のライティングパート、B1のライティングパートともに課題数は2つです。単語数は受験者が書く分の単語数を表しています。注意しなければいけないのは、単語数を表しているので冠詞は単語に含まれないということです。指定の単語数はB1がA2の2倍程度あるので難易度が上がることがわかります。
DELE A2とDELE B1「スピーキング」の課題数
A2
Tarea 1(2~3分)
Tarea 2(2~3分)
Tarea 3(3~4分)
B1
Tarea 1(2~3分)
Tarea 2(3~4分)
Tarea 3(2~3分)
Tarea 4(2~3分)
A2のスピーキングパートの課題数は3つ、B1のスピーキングパートの課題数は4つです。各課題ごとの所要時間は同じですが、B1のほうがより1課題多くなっています。
DELE A2とDELE B1の語彙数の違い
A2
リーディング
1325~1725単語
リスニング
975~1465 単語
ライティング
35~45 単語
スピーキング
—
B1
リーディング
1490~1820 単語
リスニング
1540~1930 単語
ライティング
115~135 単語
スピーキング
—
リーディングは、A2とB1の語彙数に大きな違いはありません。難易度も大きな違いはないといえます。
リスニングは、A2とB1の語彙数に大きな違いがあります。ただ、B1の課題数はA2より1つ多いので、1課題当たりの語彙数は差が多くありません。
ライティングは、参考テキストの単語数を表しています。参考テキストの単語数の差が2倍以上もあるので、B1ではより高いテキスト分析力が要求されることが明らかです。
スピーキングは、A2、B1ともに写真や図を見ながら行うので語彙数は記載ありません。
DELE A2とDELE B1のテキストの種類の違い
DELE A2とDELE B1「リーディング」のテキストの種類
A2
Tarea 1
私的な分野の、ベーシックな内容の個人的な手紙、電子メール、短い書簡体小説など。
Tarea 2
公的な分野の、短く単純な雑誌や新聞の記事、パンフレット、広告、ポスター、告示、ブログ、フォーラム、さまざまな種類のお知らせなど。
Tarea 3
公的な分野の、短く単純な雑誌や新聞の記事、パンフレット、広告、ポスター、告示、ブログ、フォーラム、さまざまな種類のお知らせ、レシピ、スケジュール、求人など。
Tarea 4
私的、または公的な分野の、人物、日記、ブログ、小話、新聞や雑誌のニュース、旅行ガイド、場所、イベントなどに関する伝記レビュー。
B1
Tarea 1
私的、公的、教育的または専門的な分野の、広告、掲示板、個人的なメッセージ、お知らせなど。
Tarea 2
公的、または教育的な分野の、インフォーマルなテキスト。
Tarea 3
公的な分野の、逸話、旅行ガイドからの実用的な情報、経験、ニュース、日記、伝記、求人など。
Tarea 4
私的、または公的な分野の、カタログ、説明書、簡単なレシピ、カウンセリング、物語など。
Tarea 5
私的、または公的な分野の、書簡体小説、ディレクターへの手紙、初歩的な正式文書、個人的な手紙または電子メッセージなど。
DELE A2とDELE B1「リスニング」のテキストの種類
A2
Tarea 1
私的、公的、または教育的な分野の、日常の活動、自由時間、好み、興味についての簡潔でインフォーマルな会話や、店、レストラン、駅、空港での買い物やサービスについてのやりとり。
Tarea 2
公的な分野の、ニュース、プログラムクリップ、広告、イベント(初演、オファー、公示)に関する情報など。
Tarea 3
私的な分野の、ニュース、日常生活で際立つ出来事、提案、約束などに関する簡単な情報交換をする2人の会話。
Tarea 4
私的、または公的な分野の、ラジオ、音響装置、予測可能で日常的なコンテンツ(時間情報、オファー、安全注意情報など)で録音や放送された、お知らせ、説明、宣伝素材。または、約束、お知らせ、お願いなどの日常的な短く簡単な留守番メッセージ。
B1
Tarea 1
教育的な分野の、広告、個人的なメッセージ、お知らせなどの短いモノローグ。
Tarea 2
私的、公的、教育的または専門的な分野の、話し手の個人的な経験を説明するモノローグ。
Tarea 3
公的な分野の、さまざまなテーマに関するラジオやテレビの短いニュース。
Tarea 4
公的、または専門的な分野の、ひとつのテーマに関して別々の逸話や個人的な経験が語られるインフォーマルなモノローグや会話。
Tarea 5
私的、または公的な分野の2人の会話。
DELE A2とDELE B1「ライティング」のテキストの種類
A2
Tarea 1
私的な分野の、手紙、メモ、招待状、電子メールの回答をする。
Tarea 2
私的、または公的な分野の、写真または明確で簡潔に書かれた情報を元にテキストを作成。
*Tarea 2は選択式。
オプション1:
私生活の日常のテーマに関するテキストを作成。
オプション2:
写真、またはデータから伝記や物語を作成。
B1
Tarea 1
私的、または公的な分野の、メモ、広告、手紙、またはメール(電子メール、フォーラム、ソーシャルネットワーク、ブログ、雑誌など)を元にテキストを作成。
Tarea 2
私的、または公的な分野の、雑誌やブログ、ソーシャルネットワークの短いニュースを元にテキストを作成。
DELE A2とDELE B1「スピーキング」のテキストの種類
A2
Tarea 1
私的な分野の、課題を進行するためのガイドやテーマの多様な側面が記載された資料を元に短いスピーチをする。
Tarea 2
公的な分野の、課題を進めるためのヒントが書かれた資料や日常生活を映した写真を元に短いスピーチをする。
Tarea 3
Tarea 2の写真を元に、ある状況を想定しながら面接官と会話をする。
B1
Tarea 1
私的、または公的な分野の、あるテーマやタイトルと、候補者の回答を導くための質問が記載された資料を元にスピーチをする。
Tarea 2
Tarea 1の議題について、面接官と会話をする。
Tarea 3
私的、または公的な分野の、写真といくつかのガイドラインが記載された資料を元に簡単な解説や面接官との会話をする。
Tarea 4
Tarea 3の写真を元に、面接官と日常のある状況を想定しながら会話をする。
A2は、日常生活のより身近な出来事に関する表面的な内容のテキストで、B1は日常に馴染みのある出来事ですが、もっと深入りした内容のテキストとなっています。
テキストの種類の違いから見ても、B1ではスペイン語の理解度が高く求められるので、より難しくなっています。
まとめ
DELE A2とDELE B1の違いを試験ガイドをもとに紹介しました。
全体的にA2とB1の差が大きく、A2からのステップアップのハードルが高いように見受けられます。
B1は、どの科目も一段階レベルが上がっています。特にリスニングとライティングは語彙数にも大きな違いがあり、難易度も高くなるのでB1を挑戦する場合は準備が必要です。
スピーキングは、試験内容自体はどちらも大きく変わらないので、採点基準だけが厳しくなると理解するとよいでしょう。