スペイン語には、「定冠詞」「不定冠詞」の他に「無冠詞」があります。名詞であっても冠詞がつかない場合があるので、無冠詞の規則を覚えておきましょう。
目次
- 1 スペイン語の冠詞とは
- 2 スペイン語の「無冠詞」
- 3 スペイン語の「無冠詞」の規則と例文
- 3.1 不可算名詞が不定(特定できない)のときに無冠詞になる
- 3.2 可算名詞が複数形で不定(特定できない)のときに無冠詞になる
- 3.3 動詞「ser」の後に、職業、国籍などを示す名詞がくるときに無冠詞になる
- 3.4 可算名詞が否定文の目的語になるときに無冠詞になる
- 3.5 「名詞+名詞」や「名詞+de+名詞」として用いられるときに無冠詞になる
- 3.6 呼びかけるときに無冠詞になる
- 3.7 列挙するときに無冠詞になる
- 3.8 「前置詞+名詞」で慣用表現がつくられているときに無冠詞になる
- 3.9 「動詞+名詞」で慣用表現をつくられているときに無冠詞になる
- 3.10 掲示・標識・題名・記事の見出しなどは無冠詞になる
- 3.11 ことわざ・格言などは無冠詞になる
- 4 まとめ
スペイン語の冠詞とは
冠詞は、スペイン語で “El artículo” といい、品詞の1つです。名詞に結びついて、数・性・格などを示します。
スペイン語の冠詞は、「定冠詞」と「不定冠詞」「無冠詞」に分けられます。
- 定冠詞(el, la, los, las)=名詞が特定できるもの
- 不定冠詞(un, una, unos, unas)=名詞が特定できないもの
- 無冠詞=冠詞がつかない名詞
その中で、「定冠詞」には「中性定冠詞」という冠詞が含まれます。
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スペイン語の「無冠詞」
スペイン語で無冠詞は、名詞に対して冠詞がつかないことを指します。原則は、名詞には冠詞がつきますが、例外的に冠詞が使われない場合があります。
例えば、「Yo soy japonés(私は日本人だ)」という文では、「japonés(日本人)」は名詞ですが、冠詞がつきません。
スペイン語の「無冠詞」の規則と例文
基本的には名詞には冠詞がつきますが、名詞が一定の文法規則を果たしている場合は、名詞に冠詞が使われません。それらは規則を次の通りです。
不可算名詞が不定(特定できない)のときに無冠詞になる
基本的に、不可算名詞(数で数えられない名詞)には単数形定冠詞(el, la)のみがつきます。従って、不可算名詞には不定冠詞(un, una)が使われないので、無冠詞となります。
例:
・No tengo tiempo(時間がない)
・Me falta dinero(お金が足りない)
・Tomé agua(水を飲んだ)
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可算名詞が複数形で不定(特定できない)のときに無冠詞になる
基本的に、通常の文章では複数形不定冠詞(unos, unas)は使われず、無冠詞になります。「unos」や「unas」は、不定形容詞の「いくつかの」「およそ」という意味で使われることが多く、可算名詞の不定冠詞の複数形には冠詞がつきません。例えば、「Una casa」の複数形は「Unas casas」ではなく、「casas」となることが多いです。
例:
・Hay (unos) libros sobre la mesa(机の上に複数の本がある)
・Desde allá, se ven (unos) pájaros(そこから複数の鳥が見える)
・Él lleva (unas) encomiendas(彼は複数の小包を持っていく)
動詞「ser」の後に、職業、国籍などを示す名詞がくるときに無冠詞になる
人の職業、国籍などを示す名詞の前に動詞「Ser(soy, eres, es, somos, sois, son)」がくる場合、無冠詞になります。
例:
・Soy profesor(私は先生だ)
・¿Eres estudiante?(君は学生?)
・Ella es japonesa(彼女は日本人だ)
・Nosotros somos españoles(私たちはスペイン人だ)
・¿Vosotros sois mexicanos?(君たちはメキシコ人?)
・Ellos son empreados(彼らは会社員だ)
しかし、動詞「ser」の後の名詞に修飾語がついて具体化、個別化されるときは冠詞がつきます。
例:
・Carlos es el médico que me atendió.(カルロスは私を診察した医者だ)
・Ella es la japonesa que conocí en Paris.(彼女は私がパリで知り合った日本人だ)
・Él es un jugador famoso.(彼は有名な選手だ)
・Pedro es un mexicano que enseña japonés.(ペドロは日本語を教えるメキシコ人だ)
可算名詞が否定文の目的語になるときに無冠詞になる
数えられる名詞の否定文では、無冠詞となります。
例:
・No tengo hijos(子供がいない)
・Él no tiene coche(彼は車を持っていない)
・No hay sillas en este cuarto(この部屋には椅子がない)
・No encuetro palabras(言葉がみつからない)
「名詞+名詞」や「名詞+de+名詞」として用いられるときに無冠詞になる
名詞が2つつながる単語や、2つの名詞の間に「de」が入り1つの単語となる名詞では無冠詞になります。
例:
・Papel carbón(カーボン紙)
・Parada de autobús(バス停)
・Vacaciones de verano(夏休み)
・Clase de baile(ダンス教室)
・Libro de texto(教科書)
呼びかけるときに無冠詞になる
名詞が呼びかけに使われる際には、冠詞はつきません。
例:
・¡Oiga, señor Fernandez!(聞いて!フェルナンデスさん!)
・¡Maestro, mire esto!(先生!これ見てください!)
・¡Urgente, doctor!(先生、緊急です!)
・¡Chicos, ya es la hora de dormir!(みんな!もう時間だよ)
列挙するときに無冠詞になる
名詞が立て続けに並ぶときに、冠詞を省略できます。
例:
・Hoy estudié matematica, quimica e historia en la escuela.(今日学校で数学と化学と歴史を勉強した)
・Me gusta fútbol, béisbol y vóleibol.(私はサッカーと野球とバーレーボールが好きだ)
・Argentinos y uruguayos son como hermanos.(アルゼンチン人とウルグアイ人は兄弟のようものだ)
・Tengo fiebre, tos y dolor de cabeza.(熱、咳、頭痛があります)
「前置詞+名詞」で慣用表現がつくられているときに無冠詞になる
慣用表現とは、一般的に使われるひとまとまりになった文のことを指し、「前置詞+名詞」でひとつの意味をもつ言葉には冠詞がつきません。
例:
・¿Estás de viaje?(旅行中?)
・Estoy de acuerdo(了承した)
・¿Estás en casa?(家にいる?)
・Voy en tren(電車で行く)
「動詞+名詞」で慣用表現をつくられているときに無冠詞になる
慣用表現とは、一般的に使われるひとまとまりになった文のことを指し、「動詞+名詞」でひとつの意味をもつ言葉には冠詞がつきません。
例:
・Me di cuenta de la realidad.(現実に気が付いた)
・Me da vergünza hablar frente al público.(人の前で話すのは恥ずかしい)
・Tengo sueño(眠気がある)
・Me da igual(私にとっては同じだ)
掲示・標識・題名・記事の見出しなどは無冠詞になる
名詞が完全な文を構成していないときに無冠詞になります。
例:
・Aviso de venta(販売のお知らせ)
・Salida de emergencia(非常口)
・Diccionario de psicología(心理学辞典)
・Pautas de crianza(子育てのガイドライン)
ことわざ・格言などは無冠詞になる
ことわざや格言など、簡潔な表現がつかわれるときは無冠詞になります。
例:
・Ojo por ojo, diente por diente.(目には目を、歯には歯を)
・Ojos que no ven, corazón que no siente.(目の当たりにしなければ心は痛まない)
・Árbol que nace torcido, jamás su tronco endereza.(曲がって生まれた木は決してまっすぐに育たない)
・En boca cerrada no entran moscas.(口を閉じていれば蠅すら入らない)
まとめ
スペイン語の「無冠詞」にはたくさんの規則があります。名詞すべてに「冠詞」が使われるわけではないので、冠詞が使われない場合を全て覚えておくことは必須です。ネイティブでも「3つの冠詞」の区別がつかずに話している人も多いですが、スペイン語学習者でも冠詞をうまく使い分けることができるようになれば、レベルが一気に上がります。